奇跡の猫?! 原因不明の重度の貧血と言われ31日間戦った愛猫の闘病記

黄疸

「黄色い猫」突然のFIP宣告

 

我が家の初代猫はキジトラのオス。推定生後1ヶ月半の時、息子が河川敷で拾ってきました。
すくすく育ち2歳半を過ぎた頃、異変に気がつきました。

  • 食欲不振(カリカリはほとんど食べない)
  • 水をよく飲む、トイレの砂がすぐになくなる
  • 痩せた(1歳の頃は5.4kg)
  • 少し下痢をしていた

予兆はシルバーウィークの頃からありました。すぐにかかりつけに連れて行きました。
先生は「どこかに炎症があるので心配なら大きな病院を紹介します」と、1時間かかる病院を教えてくださいました。

その後、徐々に下痢も治まり食欲も少し戻り、3.4kgまで落ちた体重も4kgに戻りました。

体調の悪かった私はそのまま様子を見てしまったのです。
ところが依然として痩せて元気もなかったので、年が明けてから2月、4月とまたかかりつけに行き、尿検査をしましたがこれも異常無し。
しかしすぐに真っ黄色なおしっこをあちこちでするようになり、車で40分の大きな動物病院に猫を連れて行きました。4/10のことでした。

先生は一目見るなり「黄色いですね、いつからですか」と言いました。
黄色い? うちの猫は肉球も真っ黒、初めて言われた言葉でした。
先生は毛皮をめくり肌の色を見せました。確かに黄色い…そういえば耳も真っ黄色でした。

「黄色い猫は要注意なんです。黄疸が出ていますね」先生は黄色くなった白目を見て言いました。
それから2時間の検査の後、先生は険しい顔をして言いました。

黄疸が出ている、脾臓も腫れている

胸水が300ml溜まっていたので抜いたから呼吸は楽になったと思う。

胸水は詳しい検査をするがたぶん乳びだろう、リンパ管が破綻しているひどい貧血で、ショックで死ぬかもしれないので輸血はできない症状から見て、FIPだと思うが、遺伝子検査は高額なのでどうするか?

そして、先生は血液検査の結果を私の前に置きました。

ヘマトクリット値6…重い貧血の原因

検査結果

CBC検査の結果は赤と青の異常値だらけでした。

  • RBC(赤血球値) ➡︎ 0.83 (基準値6.54〜12.2)(100/μℓ)
  • HTC(ヘマトクリット) ➡︎ 6.2 (基準値30.3〜52.3)(%)
  • HGB(ヘモグロビン) ➡︎ 2.0 (基準値9.8〜16.2) (g/dℓ)
  • MCV(平均赤血球容積)、MCH(平均赤血球ヘモグロビン量)、RDW(赤血球分布幅) 全て高値
  • EOS(好酸球数)は0.07しかない
  • PLT(血小板数)は112で、紫斑病、DIS、自己免疫疾患の可能性がある

 

生化学検査の結果は以下でした。

  • ALT(アラニンアミノトランスフェラーゼ ) ➡︎ 248 (基準値12〜130)(U/L)
  • GLOB(グロブリン) ➡︎ 5.6 (基準値2.8〜5.1)(g/dℓ)
  • TBIL(総ビリルビン) ➡︎ 4.5 (基準値0.0〜0.9)(mg/dℓ)
  • 肝臓の異常と免疫系の亢進、溶血があり感染症の疑いとのこと。

 

「それから、これが胸水です」先生はビーカーに入ったオレンジジュースのような液体を置きました。

「黄色いのは黄疸のせいでしょう」乳び胸の原因はほとんどが不明だそうです。
私は先生に遺伝子検査をお願いし、50000円近くを払って帰りました。

それからのことはほとんど覚えていません。

その日にした処置、検査は以下の通りです。(大阪市・M動物病院の場合)

  • 血液検査(血液一般検査と血液化学検査)
  • Felv(猫白血病)、FIP(猫伝染性腹膜炎)検査
  • 血清化学検査(電解質・単項目)(Na,K,Caなどと肝・腎・抗体の有無を調べるため?)
  • 腹部エコー
  • 胸部レントゲン
  • 胸水穿刺除去
  • コンベニア皮下注射 (2週間効く抗生物質)
  • 抽出した胸水のFIPV,FECV-PCR検査
  • (伝染性腹膜炎、コロナウイルスの一種である猫腸コロナウイルスの遺伝子検査)

 

余命は週単位だろうということでした。

ところが1週間後に出た検査結果はFIP陰性でした。

  • 胸水によるFIPの遺伝子検査の結果、FCOV(猫コロナウィルス)、バイオタイプ共に陰性
  • Felv、猫エイズ共に陰性
  • 胸水を詳しく調べた結果、感染症や癌細胞らしきものはなく血液成分もないがリンパが含まれる
  • 腫瘍らしきものは見つからない
  • すい炎検査も陰性

 

「FIPで命を落とす猫ちゃんの中からは外してあげてもいいと思います」
先生は優しく言ってくださいましたが、「原因不明の貧血・胸水」ということになってしまいました。

積極的な治療を行おうにも、原因もわからない。
対症療法になるしどのみち余命も短いのならこのままうちに連れて帰ってどうなろうと可愛がりまくろう。

家族でそう決めました。3歳の誕生日を迎えていました。
とても新鮮な鳥の生ギモを買ってきました。
美味しそうに鳥のモツをしゃくしゃく噛んで食べました。

相変わらずトイレマットやバスマットに粗相をし、チュールや煮干し、カマスゴをぱくぱく食べましたが2階には行かなくなっていました。

知っておきたい!猫が貧血かもしれない症状のチェックポイント7つ

猫の貧血は早期発見が難しい症状です。
私の猫はキジトラで肉球の変化などに気づけず、赤い尿もしませんでした。4月には黄色いビリルビン尿になっていました。

もう一度「猫の貧血」のポイントをあげておきます。

  1. 耳、歯茎、肉球が白い(黄疸が出ると黄色)
  2. 体温が低い、あるいは熱がある
  3. おなかだけがぽっこりしている
  4. 家の植物を食べた、ネギ類の誤食
  5. 外に出入りしている
  6. 赤い尿が出る
  7. 元気がない、息切れする、食欲がない

どれも些細な変化です。もし、誤食など、原因がはっきりしているものであればすぐ処置を行ってください。

FIP陰性 原因不明の重い貧血…その時飼い主はどうすべきか

猫の貧血

我が家の猫は元野良子猫です。
飼い猫になってからは完全室内飼いで他の猫とのケンカもありません。

去勢もしていますし、穏やかな誰にでも懐く猫です。

初診時の検査結果を見ると尿素窒素(BUN)、クレアチニンともに正常で腎臓の異常はなし、グルコース(GLU)も正常で糖尿病でもなく、タンパク質(TP)も正常でした。

しかし「やはり貧血の治療だけはしてもらおう」と、私は再度M動物病院へ行きました。初診から12日後のことです。

以下は4/10→4/22、初診時との比較です。

  • RBC(赤血球値) ➡︎ 0.83→0.91
  • HTC(ヘマトクリット) ➡︎ 6.2→6.8
  • HGB(ヘモグロビン) ➡︎ 2.0→2.3
  • EOS(好酸球数) ➡︎ 0.07→0.08
  • PLT(血小板数) ➡︎ 112→99

ほとんど変わらない上に血小板はまた下がっていました。

しかし先生は言いました。「数値が下がっていないことを喜びましょう。すごい生命力です。この数値で生きている猫ちゃんを私は見たことがないです。」

まずは疑わしい「ヘモバルトネラ」を検査することにしました。採血して作った標本の赤血球の表面に虫がいたら確定です。

4/22の処置、検査は以下です。23000円でした。

  • 血液検査(CBC)
  • 血清化学検査(肝スクリーン1)
  • 薬代(錠剤7錠2種類、ステロイドと増血ホルモン)、調剤料、ペットチニック
  • コンベニア皮下注射、ネスプ(造血ホルモン)注射

ところが、1週間後の検査結果では「虫は確認できなかった」とのことでした。

原因を探り続ける時間はありませんでした。貧血の治療はそのまま続けました。

FIPでもヘモバルトネラでもない重い貧血

私は猫のために文献を漁りました。
猫の貧血は重度になって元気が無くなってから初めてわかることも多いと書いてありました。

うちの場合、FIPは陰性、白血病もエイズも陰性なので、ヘモパルトネラも考えにくく、腫瘍の影も、胸水の中に異形リンパもなかったのです。他の病気の可能性を考えました。

慢性腎臓病(腎性貧血)

多飲多尿、下痢、痩せる。FIPや猫エイズが引き金となる。

腎臓から出る、エリスロポエチンという造血機能をさらに上げるよう命令を出すホルモンを注射で補う。しかし人間の薬なので、猫には使えなくなる場合がある。

糸球体腎炎

痩せる。吐いたり多飲になる。初期症状はほとんどない。 蛋白尿が出る。直接的な病気がある時はそちらを治療する。多くは原因不明。

溶血性貧血(ヘモバルトネラ以外)

免疫介在性溶血性貧血は多飲多尿、腫瘍が原因の場合と不明の場合がある。

治療はヘモバルトネラと同じ。黄疸が出た場合は危険。網赤血球は増加する。

非再生性溶血性貧血

骨髄で血液が造られない。網赤血球の減少。ステロイド、効かなければシクロスポリン(免疫抑制剤)を使う。

猫白血病、悪性リンパ腫などの腫瘍

発熱、元気がなくなる、赤血球、白血球、血小板が減少する。

糖尿病、甲状腺などホルモンの病気

膵臓の異常、甲状腺機能亢進症などでも貧血の症状が出ることがある。

 

消去法でいくと免疫性かなと思いました。
「網赤血球」数を示すRETICという項目が急上昇していました。
「網赤血球」は丸くて大きい若い赤血球です。成熟した赤血球は凹んだ形をしています。

普段はきちんと成熟してから血液内に排出されるのですが、成熟した赤血球が溶血で不足すると「少年兵」のように若い赤血球がたくさん作られ駆り出されます。

体が一生懸命血液を作っている証明です。非再生性か、再生性かは網赤血球数がポイントです。
4/29の診察では、前回投与された造血ホルモンの効果が現れていました。

その時の数値です。(4/10→4/22→4/29)

  • RBC(赤血球値) ➡︎ 0.83→0.91→1.09
  • HTC(ヘマトクリット) ➡︎ 6.2→6.8→8.5
  • HGB(ヘモグロビン) ➡︎ 2.0→2.3→2.8
  • EOS(好酸球数) ➡︎ ほぼ変化なし 0.08
  • PLT(血小板数) ➡︎ 102→99→102
  • RETIC(網赤血球の数値) ➡︎ 7.1→12.9→36.3

薬の効果があったようです。「治るかもしれない」と思いました。多飲多尿、粗相の原因はわかりませんでした。

 

呼吸困難、薬を飲まない…猫の自宅介護

猫と酸素カプセル

粗相をするのはそれだけ体が辛いのだろうと、いつもいるお気に入りの窓辺の棚の下にペットシーツを敷いたカゴを置き、簡易トイレにしました。

食べられるものを食べさせようと、魚屋に行くのが日課でした。

マグロはあまり食べず、その時旬だったカマスゴをぱくぱくよく食べました。
天気のいい日にはリードに繋いで日光浴。病状が進んでからは窓辺でじっとしていました。
自力でトイレまで行き、ちゃんとおしっこをした時は家族みんなでべた褒めでした。

病院ではビブラマイシンという抗生剤とプレドニンというステロイド、そして液体の増血剤をもらいましたが、薬も嫌がりました。

錠剤は半分に割ってあり、とても小さい物でしたが、スープなどに混ぜてもすぐに吐き出します。

頭をつかんで上を向かせるやり方も、嫌がって呼吸困難にしてしまいとても後悔しました。

ネットでも空のカプセルが売られていますが、一番うまくいったのは、なまり節やカマスゴに埋め込んで食べさせる方法でした。

ペットチニックという液体の増血剤にはスポイドがついています。
奥歯の横からチュッと入れて、また水をスポイドで流しました。
どうしても薬を飲んでくれない時は、かかりつけで錠剤の代わりに注射をしてくれるとのことでした。

呼吸数は一分に多い時で60近く、口呼吸もありあまりにも辛そうなので2週間ほど酸素ケージを借りました。

これはとても良かったです。電話ですぐに駆けつけて設置してくれましたし、なにしろ酸素ボンベのようにすぐに酸素が尽きることがない。

ペットシーツと毛布を入れると中で寝てくれることもありました。
慣れると自分から出たり入ったりして調整していました。

余命宣告からひと月と1日、ケージの中でがつがつパウチを食べました。

「酸素よりメシ!」と言ってるようでした。

その3時間後、病院に向かう車の中で娘に抱かれ、3年の命を終えました。

最後に

私がこの記事を書くに至ったのは、この体験が同じような方の役に立つかもしれないと思ったからです。

大きな病院でも貧血の原因を見つけられなかった猫ちゃんがこの世界のどこかにいるかもしれない…

私たちのこの1ヶ月は、とても濃く、重い毎日でした。

みんなで昼も夜も様子を見て出来ることはすべてやりました。

猫は最後まで全力で生きようとします。野生の力を見た気がしました。

今は、その少し後に現れた野良の子猫2匹と暮らしています。

もしかしたら先代猫が妹弟猫をプレゼントしてくれたのかもしれません。

この体験が少しでも役に立ったら幸いです。

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