ゾエティスが2016年7月に発売した革命的な犬のアトピー性皮膚炎の治療薬がアポキル錠です。
アポキル錠の発売によって、これからアトピー性皮膚炎で苦しむ犬と飼い主様が少なくなっていくのではないかと医療関係者の間で期待されています。この記事ではアポキル錠の特徴や効果など多くの飼い主様が気になる話について、獣医師に聞いた事をメインに飼い主さんの目線で詳しくご紹介していきますのでぜひ最後までおつき合い下さい。
この記事の目次
犬アトピー従来薬と比較して分かったアポキル錠の特徴
従来の犬アトピー治療薬で使われていたお薬は大きく分けて4つです。
内服薬では経口ステロイド剤(プレドニン・プレドニゾロン)や、抗ヒスタミン剤・シクロスポリン剤、お注射ではインターフェロンが定番です。特にステロイドは低価格かつ効果も高いので使用経験がある飼い主さんも多いのではないでしょうか?ここに5つ目の選択肢として出て来たのが『アポキル錠』です。それぞれのお薬を有効性・即効性・安全性・価格の4点から比較してみました。
治療薬 | 有効性 | 即効性 | 安全性 | 価格 |
---|---|---|---|---|
アポキル錠 | ◎ | ◎ | ◎ | ○ |
ステロイド剤 | ◎ | ◎ | × | ◎ |
シクロスポリン剤 | ◎ | × | ◎ | ○ |
インターフェロン | △ | × | ◎ | × |
アトピー治療で出来れば使いたく無いと飼い主さんが口を揃えるステロイドですが、事実、副作用が非常に強いお薬です。長期間服薬する事でステロイド過剰となり感染症に罹りやすくなったり、副腎機能の低下、肝障害などの重大な副作用が現れる可能性があります。
それにも関わらずステロイドが使われるのは、ほぼ効果が100%ある事に加えて、即効性も高いので治療の効果が早く出やすいからです。また、価格が1番安いので飼い主さんの経済的負担になりにくい事も1つの理由です。
次に、アトピカなどに代表されるシクロスポリン剤は効果は高いものの、即効性が低い事と価格が高い事がデメリットです。動物病院によりますが1ヶ月に2万円程度の薬代が掛ってしまうので経済的に続ける事が難しい方も多いです。
3つ目のインターフェロン注射は、副作用はないものの即効性がなく効果が出るまでに1ヶ月も掛ってしまう事や、費用が高く経済的負担が大きい治療薬です。
最後に、2016年7月に発売されたばかりのアポキル錠です。アポキル錠はステロイドに変わる治療薬だと言われており、即効性に関してスレロイドに劣らず投薬後4時間以内に効果が現れます。同様に効果性もステロイドに匹敵し、投薬後14日以内に86%の症例で犬のアトピー性皮膚炎が改善したという結果が出ています。にも関わらず、アポキル錠は安全性が非常に高く副作用が一切ありません。
関連記事:アポキル錠は副作用がない!?推奨度Aの犬アトピー治療薬
効果・即効性・安全性の三拍子揃った唯一のお薬である事から、発売当初から大人気となり品薄状態が続いたそうです。今まで「ブレドニゾロン」などのステロイド剤や、「アトピカ」などのシクロスポリン剤で思うような効果を得られていない飼い主さんと犬ちゃんにはぜひ積極的に試して頂きたいと考えています。
ただ、完璧とも言える「アポキル錠」にも1つだけデメリットがあります。それは価格です。病院や、わんちゃんの犬種、大きさなどによっても異なりますが月に最低1〜2万円程度は掛ってしまうと思います。安く抑えたい場合は掛かり付けの獣医師に相談の上、通販(個人輸入)で購入すると病院の半額以下の値段で購入する事が出来ます。
関連記事:アポキル錠を通販で病院の70%OFFの価格でお得に買おう
遺伝子レベルで痒みを抑える?アポキル錠の効果が凄い!
画像出典:https://www.zoetis.jp/ca/dogs/apoquel/vets/mechanism.aspx
アポキル錠は今までのアトピー治療薬とは根本的に異なり「分子標的薬」に分類されます。
分子という言葉通り、病気の原因を分子(物質を分解した最小単位)や遺伝子レベルでとらえて、それに直接作用するように作られた薬です。ここからは少し難しい話になりますが、分かりやすく簡単に説明します。犬がアトピー性皮膚炎になるとカトサインと呼ばれる物質が放出され、知覚神経上の受動態と結合します。結合する事によって脳に「痒い」という信号が送られるので痒みが発生するのです。
その際、人間であれば掻く事を我慢する事が出来ますが、犬の場合は自らの意思で掻くのを止める事は出来ませんよね?どうしても患部を舐めたり、掻いたりするようになります。ですが掻いてしまう事でさらに負のサイクルに陥るようになるのです。掻くといままで以上にカトサインの放出が促されるので余計に痒くなり、それにより再び掻いてしまうのでどんどん皮膚の炎症が進んでしまうからです。
つまり、犬のアトピー性皮膚炎の治療ではまずは痒みを止める事が重要なのです。
アポキル錠の主成分「オクラシチニブ」は痒みを発生させるカトサインの機能を抑える働きをします。その結果、痒みが大きく軽減され掻く頻度が減るので皮膚の炎症がストップし、犬のアトピー性皮膚炎を抑えます。
効果が凄い!アポキル錠を使用した改善症例
画像出典:https://www.zoetis.jp/ca/dogs/apoquel/vets/clinical.aspx
こちらの画像はアポキル錠の発売元であるゾエティス社HPで公開されています。
治療開始前では毛が抜け落ちて肌が露出してしまっており見るからに痒そうな状態でした。
にも関わらず、アポキル錠を1日2回投与する事で毛が新たに生え出しました。治療84日目にはほとんど全ての体毛が元に戻る劇的な効果が現れました。
4K動画で経過観察!アポキル錠を服用した効果
Youtubeでアポキル錠と調べてみると、4歳のヨーキーの治療経過を見つける事が出来ました。
興味がある方は動画も参考にされて下さい。
アポキル錠服用1日目
痒みに悩む愛娘(ヨーキー4歳)の新しい薬が届きました。薬のほかにシャンプー、食事などいろいろ試してきましたが、なかなか改善せず。飲んでから3時間、掻いたりせず落ち着いています。アポキル錠は以前より獣医師さんより紹介されていた犬のアレルギー性皮膚炎の薬で、即効性があり副作用が少なく安全性が高いとのことでした。今月、日本での発売が開始されて本日処方されました。好きな餌やおやつが食べれるようになれば良いなと思っています。
アポキル錠服用5日目
2日目:夜の間、体を掻いたり嘗めたりせずに朝まですやすやと寝てたように思います。
4日目:赤い発疹は見当たらなくなってきました。瘡蓋もぽろぽろと取れてきました。
5日目:掻いたり、舐めたりする姿を見かけなくなりました。
アポキル錠服用10日目
10日目:瘡蓋や赤い痕も随分と退いてきました。眠りが深くなったようで、以前より寝息がよく聞こえてきます。
14日以内に86%の症状が改善すると発売会社であるゾエティスが発表している通り、ヨーキーちゃんの症状も10日で随分と改善したようでした。
愛犬のアトピー性皮膚炎でお悩みの飼い主さんはぜひアポキル錠使ってみて下さいね。ステロイド系やシクロスポリン系とは全く違うプロセスで働くお薬なので期待出来ると思われます。
2級愛玩動物飼養管理士の資格を所有しています。
ペットの病気という難しい話ではありますが、飼い主さん目線でなるべく分かりやすく執筆するように心がけていますのでよろしくお願い致します。
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