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犬が下痢になる原因
下痢をする時には様々な原因があります。
そこでまず意識して欲しいのが、下痢とは『症状』であって『病名』でないということです。
つまり、下痢をするから下痢を止めればいいという単純なものではなく、下痢をするということは原因となる『病気』が隠れている可能性がある、ということだけは覚えていてください。
では、どうして下痢になるのか?いくつかの原因をご紹介します。
- 消化不良
- 内臓疾患
- ストレス
- 寄生虫
- 感染症
- 食事
- アレルギー
主に下痢を引き起こす原因として以上のようなものがあります。
こういった様々な原因のうちどれが原因なのかを突き止めるには動物病院で診察を受けなければわかりませんが、便の状態とわんちゃんの様子から小腸からくるのか大腸からくるのかを判断することができます。
小腸?大腸?どっちの下痢が悪い?
では、小腸性なのか大腸性なのかを判断できる簡単な基準をお教えします。
小腸性の下痢
- 水様便(水のような下痢)・軟便
- 1日の便の回数は多くないが1回の便の量が多い
- 飲水量が増える
- お腹がぐるぐるなる
- お腹が張る
- 頻繁におならをする
- 体重の減少
- 嘔吐
大腸性の下痢
- 粘膜便・血が付着した便
- 1日の便の回数が増えるが1回の便の量は少ない
- しぶり腹
以上のように小腸と大腸では症状が違ってきます。
そして大腸からくる下痢の場合は様子を見ても大丈夫なことが多いですが、
小腸からくる下痢の場合は早めに診察した方がいいことが多いです。
便の色も重要な情報
便の色が何色なのかでおおよその可能性を絞っていくことができます。
動物病院にかかる際も、便の色も大きな鍵になるのでしっかり観察しましょう。
黄色・茶色(※1)
黄色や茶色の場合は通常の便が下痢になっている状態ですので、
お腹を壊してしまっていたり食べ過ぎやストレスといった要因が絡んでいることが多いです。
血が表面に付いた便・血が混ざった便(※2)
表面に血が付いている、便の最後の部分にだけ血がついているといったような時は、
大腸や肛門が傷付いている場合で、大腸炎や肛門嚢炎などが起こっていることがあります。
また、大腸炎になる原因としてストレスや食べ物(消化の悪いものや食べなれないもの、食べ過ぎなど)が最も多く、それ以外では寄生虫や細菌・ウイルスといった感染症が原因となることもあります。
一方、便に血が混ざっている状態というのは大腸よりも前の部分で何かが起きている時に出ます。
原因として、出血性胃腸炎などの消化器疾患・寄生虫・肝臓病・誤飲(異物を飲み込んだ)などが考えられます。
タール便(※3)
タール便とは黒くてドロっとした便のことを言います。タール便が出るときは小腸や、胃や十二指腸などの消化器官のどこかで出血していたり、胃潰瘍や胃がんといった腫瘍ができている場合、気管や肺からの出血といった様々な原因があります。
緑色の便(※4)
便が緑色になる原因は胆汁から出るビリルビンを腸がうまく吸収できていないためです。
本来は、ビリルビンを小腸や大腸で吸収することで茶色の便になりますが、消化器機能が低下しているとうまく吸収できずに酸化してしまい緑色の便となってでてきます。
また肝機能の低下でも緑色の便になります。胆汁は肝臓から出る消化液なので、肝機能が低下すると胆汁が異常に増え消化器官でビリルビンの吸収が追い付かずに酸化して緑色の便となります。
黄色→緑→トマトジュースのような鮮血(※5)
これはパルボウイルス感染症にかかったときに出る症状です。
最初は黄色っぽい下痢から始まり、緑になり、そして最終的にトマトジュースのような真っ赤な鮮血の水様便(水下痢)をします。
また、下痢だけではなく元気消失・食欲不振・嘔吐・発熱・脱水など引き起こす重篤な感染症です。
特に免疫力がまだほとんどない子犬がかかりやすく、ワクチンを接種していない成犬も感染するウイルスです。
病院に連れて行った方がいい下痢の状態は?
下痢にも様々な原因があり、色や状態によっても症状の重さというのが違ってきますが、
上記(※③④⑤)の状態が見られたときはできるだけ早く動物病院に連れて行ってください。
まず、タール便は決して良いとは言えない状況なことが多いですので黒くてドロっとした便をしたらすぐ動物病院へ連れていきましょう。
そして、緑色の便をする場合は、消化器機能や肝機能が低下していることから、その原因を特定して排除する必要があります。
最後のパルボウイルス感染症については、様子を見るものではありませんね。
一方、(※②)の血が表面に付いた便や血が混ざっている便や、(※①)の黄色や茶色の便については、ストレスやいつもと違うものを食べてお腹がびっくりしたり、便が硬くて痔のような状態になって起こることがほとんどなので様子を見て大丈夫です。
ただし、便の状態がビショビショの水下痢状態であれば様子を見るのではなく早めに連れて行ってください。
すぐ病院へ!嘔吐を伴う下痢
下痢だけでなく嘔吐を伴うならすぐ病院へ連れて行ってあげましょう。
下痢だけでも続けば脱水してしまいますが、そこに嘔吐も加わると更に脱水を進行させてしまいます。嘔吐を伴う場合は感染症や消化機能の問題、他の病気の可能性など様々な原因が考えられます。
自宅で出来る下痢の対処法
様子をみてもよさそうな下痢の場合は、次のような対処を取りましょう。
絶食
1日絶食(フードやおやつ等食べ物を与えない)するようにしましょう。絶食の目的は胃や腸を休めることにあります。
下痢をするということは、腸の動きが弱くなっている状態ですので1日絶食して腸を休ませてあげることで元に戻ることが多いです。
また、お水は与えてもらって大丈夫です。絶食で様子をみて、次の日治まっているようであれば、1回量の1/3程度のフードを与えて様子を見ましょう。
問題なければ、その日は1回1/3の量を1日2~3回に分けて与えて翌日からはもとの量に戻してみましょう。
獣医師の指導の下でビオフェルミンを使う
腸の動きが弱いときは整腸剤で腸内環境を整えることで、回復の手助けをすることができます。
しかし、体重によって与える量が違いますし人間と動物では容量も違います。
もし自宅にビオフェルミンがあってそれを使ってみたいという時には、自己判断で与えるのではなくかかりつけの動物病院に電話をして獣医師に相談するようにしてください。
犬の下痢に正露丸は使えるのか?
また、正露丸は使えるか?といった質問もありますが絶対にダメです。
正露丸にはフェノール・クレゾール・グアヤコールといった『フェノール類』の成分が含まれています。その成分を代謝することができないので、逆に有毒となり体調を悪化させますので絶対に正露丸は使わないようにしましょう。
以上のように、様子を見てもいいようなものであれば1日絶食をすることで回復することがほとんどです。しかし、1日様子をみても全く回復せず翌日も下痢をしているようであれば動物病院へ連れて行くようにしましょう。
下痢に効く止瀉薬ディアバスター
ディアバスターには5つの有効成分が配合されており、
腸粘膜の保護・腸の抗炎症作用・腸内殺菌・細菌増殖の抑制・整腸作用・鎮痛作用があり、これらの働きによって下痢を止めてくれます。
単に下痢を止めるだけではなく、それぞれの有効成分が働き合うことでより早く確実に下痢を改善してくれるお薬です。
下痢といえばディアバスターと言えるくらい効き目がしっかりしています。
下痢の対処も大事だけど予防はもっと大事
最初でお話ししたように下痢とは病気ではなく『症状』のひとつです。
そのため、下痢にならないように予防することは可能ですのでそれぞれの可能性に対しての予防方法をお教えします。
内部寄生虫(回虫・鉤虫・鞭中・条虫)
内部寄生虫(お腹の虫)を予防するので基本的なことは、生活環境を清潔に保つことです。
回虫・鉤虫・鞭中といった内部寄生虫は主に排泄物から口に入ることで感染します。
そのため、排泄物をいつまでも放置したりせず、処理した後は綺麗に消毒して拭き残しなどないようにすることが大事です。
また、条虫はノミから移る虫ですので、ノミダニ予防をしっかりすることで防ぐことができます。
お腹の虫の駆除には『ネクスガードスペクトラ』がお勧めです。
ワクチン接種
6種混合ワクチンや9種混合ワクチンといった言葉を聞いたことがあると思いますが、
このワクチンには命にかかわる重い病気を予防する働きがあります。
パルボウイルス感染症・レプトスピラ症・ジステンパーなどどれも感染すると重い病気で最悪死に至ります。
いずれも、発熱や嘔吐、元気食欲の消失、そして下痢といったさまざまな症状を引き起こします。
そうならないためにも、任意だからとか室内だからとかは関係なく予防接種をするようにしましょう。
食事管理
食事を選ぶときにまず最初に大事なのが、その子の身体に合ったフードを選ぶことです。
身体に合ったフードかどうかは便の状態で判断できます。しっかり消化吸収されているフードであれば、
コロコロして掴んだ時に便が床に付着することなく、蹴り飛ばすことが出来るような便です。
そして量も少なく2~3個くらいの便をする程度です。
これが、身体に合っていないフードだと緩くて大きさが大きく1回量が多い便をします。
では、どんなフードを選ぶといいのかご紹介しましょう。
フードを選ぶポイント
着色料を使っていないフード
よく、すき焼き味や緑黄野菜入りと書いたフードを見かけませんか?
そしてそのフードの色は茶色以外に赤・黄色・緑といった様々な色が入っていませんか?
すなわちその色が着色料です。こうしたフードは消化吸収が悪いので量が多く柔らかい便をします。
つまり、それだけ腸に負担を与えていることになります。
おススメの一般フードは?
おススメするフードとしては、ヒルズやロイヤルカナン、アイムスといった代表的なメーカーのもやナチュラル系のフードをオススメします。
料金で考えると一番わかりやすいかもしれませんが、1kgあたり1000円以上のフードは質の良い原材料を使っていたりするので良質なフードと言ってもいいでしょう。
フードのタイプは?
フードにはドライ・セミドライ・ウェットと種類がありますが、基本的にはドライを与えてもらえば大丈夫です。
よく「噛むのが大変そうだから」「粒が大きくて噛めなさそうで可哀想」といった方がいらっしゃいますがそれは違います。
噛む力があるのであれば、しっかり噛ませることで顎を強く保つことができ、脳が活性化することでボケ予防や、歯垢が付きにくいといったメリットがあります。
また、大きい粒は確かに大変そうに見えますがちゃんと自分が食べれる大きさに嚙み砕いて食べてくれます。健康のためにも、しっかり噛むことができるならドライを与えるようにしましょう。
セミドライやウェットはだめ?
噛むことができるのであればドライをおススメしますが、状況によって使い分けることが大事です。
例えば口の中に腫瘍ができて食べる事で痛みや出血を伴う、噛む力が衰えてしまい食事をするのが辛そう、流動食のようにしないと食べることができない、水分をあまり飲まないから食事からできるだけ水分を取らせたい、といった様々な理由からウェットタイプを利用することでわんちゃんに負担をかけずに食事をしてもらうことができます。
フードを切り替えるときは一気に切り替えない
今まで食べていたフードを他のものに変えたりすると、お腹が慣れていないために下痢を引き起こすことがあります。
そのため、フードを切り替えるときには急に100%新しいフードから始めるのではなく、今までのフードと新しいフードの割合を8:2→7:3→6:4→5:5→4:6→3:7→2:8→1:9、0:10、といったように徐々に切り替えていくことで下痢を予防することができます。
1ヶ月で食べきれる量で開封後は密封保存
フードを買う時は必ず1ヶ月で食べきれる量を購入してください。理由はフードが酸化してしまうからです。
酸化というのはつまり傷むことで、酸化してしまったフードを与え続けていれば下痢や嘔吐を引き起こしたり、軟便になってしまったりします。
また、開封したら酸化を防ぐために必ず空気を抜いて封をするようにしましょう。
下痢を繰り返してしまうときはサプリメントを使おう
体質的にお腹が弱い子は常に腸内環境を整えてあげることで下痢や軟便を予防することができます。
そこでオススメするのが整腸作用のあるサプリメントです。
サプリメントはお薬と違い食事の部類に入るので副作用の心配がなく予防として与え続けることができますのでご紹介します。
ビヒラクチンDX
【特徴】
ビフィズス菌と4つの乳酸菌を組み合わせることで腸内環境を整え、
さらにキチン・キトサンという動物性食物繊維も配合されているので自然治癒力も高めてくれます。
【タイプ】
粉
【嗜好性】
ミルク味
マイトマックススーパー
【特徴】
ペディオコッカス菌という新しい乳酸菌を使用することで酸化に強くなっています。
そのため、胃酸や胆汁でもしっかり生存することができ生きたまま腸内まで届きます。
保存についても酸化に強いので、開け閉めを気にすることなく使用できます。
【タイプ】
カプセル
【嗜好性】
ほんのり甘い
どちらも嗜好性が高いため喜んで飲んでくれます。
そのままふりかけのようにしてあげてもいいですし、飲ませてもいいですし、上げやすいやり方で与えてください。
腸に良い栄養素は?
整腸剤に入っている乳酸菌やビフィズス菌、食物繊維などはもちろんですが、
日頃食べるフードの成分からも腸に良い栄養素を見極めることができます。
皮膚や腸に優しく作られているフードには、ビートパルプといった繊維質やオリゴ糖、EPA・DHAといったアミノ酸が含まれています。
こうした栄養素には消化を正常に調整しながら腸内環境を整えてくれる働きがあります。
同時に高消化性で低脂肪なフードは腸に優しいので、日頃から少しお腹が弱いといった子には特におすすめです。
まとめ
下痢といっても大半は1日様子を見ても大丈夫な場合がほとんどで、下痢を引き起こす原因としてはストレスや食べ物がほとんどです。
しかし、いつもと変わらない生活をしているのに下痢をしだしたり、嘔吐、元気食欲がないといった他の症状がある場合や、便の色が普通じゃないといった時は、できるだけ早く病院に連れて行って対処しましょう。
また、日頃からサプリメントやお腹に優しいフードを選ぶ、ワクチン接種をきちんとするなど予防する方法はたくさんあります。
下痢になって苦しい思いをさせてしまうよりも、そうした日頃からの予防をしてあげることで、わんちゃんが気持ちよく生活できるようにしてあげましょう。
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