「猫白血病ウィルス感染症」は、FeLVというウィルスに感染することにより発症します。
しかし、感染した猫全てが発症するとは限りません。
また、このウィルスは人間や猫以外の動物に感染することはありません。
感染した猫はその後3~4年以内に死亡することが多いですが、まれに完治してしまう猫もいます。
よく勘違いされているのはこのウィルスに感染し発症すると、その症状は「白血病」だけではないという部分です。
実際には白血病以外のさまざまな症状を引き起こすことのほうが多いようです。
この記事の目次
FeLV感染経路は?
FeLVは、猫の唾液に多く含まれることが分かっています。
他にも血液、涙、糞尿、母乳や胎盤などに含まれ、下記のような経路で感染します。
- 食器の共用
- トイレの共用
- お互いに舐め合う
- 鼻や口などの粘膜の接触
- ケンカによる噛み傷
- 垂直感染(母猫の胎盤をとおして子猫が感染)
FeLV検査方法は?
FeLVに感染しているかどうかは、動物病院で血液検査をすることで確認できます。
写真のような検査キットに猫の血液を垂らし約10分待つと、青い印になって結果が表れます。
この検査キットの名前は「SNAP FeLV/FIV Combo(スナップ・FeLV/FIVコンボ)」といって、猫白血病ウィルス感染症と猫免疫不全ウィルス感染症(いわゆる猫エイズ)の両方を一度に調べることができます。
費用は動物病院によって異なりますが、だいたい3000~5000円ほどです。
なお、この検査は生後6カ月以下の子猫の場合正しい結果が出ない場合があります。
また、FeLVは感染してからの潜伏期間が3週間~4週間ほどあるため、この期間中に検査をした場合は感染していても陰性という結果が出ることもあります。
前述の通り、万が一FeLVウィルスに感染していたとしても、一部の猫は免疫がウィルスを退治してしまう(陰転する)ことがあります。
1回陽性の結果が出た場合は、数ヵ月後に再検査をしてみましょう。
陽性の結果が続き感染が確定したとしても、猫白血病を必ず発症するとは限りません。長期間発症せずに寿命を全うする猫もいます。
FeLV感染率は?
検査キット「SNAP FeLV/FIV Combo」の資料によると、1,770頭の外出猫を対象とした検査では12%の猫にFeLVの感染が確認されています。(2009年日本内科学アカデミー 猫感染症研究会FeLV/FIVを極める―2008年47都道府県での調査より)
私は今まで20匹近い子猫を保護し、里子に出すために検査を行ってきました。
子猫なので結果が正しく出なかった可能性もありますが、今のところ1頭も陽性だったことはありません。
外に出る習慣のある猫のほうが当然感染率は上がるので、そういった意味からも猫は完全室内飼育をすることが望ましいと言えます。
猫白血病の症状は?
FeLVは、1年~数年の時間をかけて骨髄に達し、いろいろな関連症状を起こします。その症状は白血病だけでなく、
- 口内炎
- 胃腸炎
- 鼻炎
- 細菌感染
- 貧血
- リンパ腫
- 気管の病気
などがあります。これらによって衰弱し、死亡する可能性が出てきます。
猫白血病の治療方法は?
FeLVに感染し発症が起こった場合、FeLVそのものを排除する治療方法はありません。
発症を遅らせるための管理や、個々の症状を抑えるための治療が行われます。
インターフェロンによって猫の免疫力を高める治療は多くの病院で行われています。
猫白血病の感染を予防する方法は?
感染した猫との接触をさせないことが最も効果的な予防になります。
自由に外に外出して、不特定多数の猫と接触やケンカをすることは感染のリスクを大きく高めます。
実際、FeLV感染は未去勢のオス猫に多いというデータもあります。
外に出さずに完全室内飼育を行い、多頭飼いをする場合には接触させる前に全ての猫に検査を行うことで予防が可能です。
ワクチンにより予防することもできるので、希望する場合には獣医さんに相談して接種を検討しましょう。
愛玩動物飼養管理士の資格を保有し野良猫の去勢・避妊手術や、
子猫の保護・譲渡などのボランティア活動に従事しています。
日本臨床獣医学フォーラムには毎年参加しており、日本中の著名な獣医師や、動物行動学の先生から直接レクチャーを受講しています。
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