フィラリア症の正しい理解と予防の方法

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
フィラリア

フィラリア症とは

フィラリア症とはどの地域に住んでいても、どのような動物でも等しく感染するリスクのある病気です。別名糸状虫症ともいい、蚊を媒介として感染が広がっていきます。

フィラリア症に感染した動物を吸血し体内にフィラリアの子虫(ミクロフィラリア)を持った蚊が、未感染の動物を吸血する際に血管内にミクロフィラリアを移すことで感染します。

ミクロフィラリアは数か月の時間をかけ成虫へと成長し、心臓に寄生→繁殖と出産を繰り返し数を増やしていきます。

発症するまでの潜伏期間は長く、三年ほどかかる場合もありますが循環器障害や呼吸器に多く症状が見られます。

感染、発症後は内服や外科的な治療がありますが完治率は極めて低く予防が重要となる感染症です。

フィラリアに感染する仕組み

フィラリア予防の方法

フィラリアの予防は月に一回のお薬になります。

予防薬といっても蚊に刺されないお薬でも、ミクロフィラリアを受け付けないようにするお薬でもありません。

蚊に刺されミクロフィラリアが体内に入っても成虫になる前に駆除してくれるお薬です。

そこでお薬を使う前に気を付けたいのが感染チェックです。

きちんと予防していたつもりでも去年1か月だけ投薬が抜けていたかもしれません。

フィラリアの成虫や大量のミクロフィラリアが体内にいるにも関わらず、予防薬を投薬してしまうとその虫達が一気に駆虫され、動物がアナフィラキシーショックを起こし命の危険にさらされてしまう場合があります。

ですから、その年のフィラリア予防を開始する前に、感染していない事を確認する血液検査を行いましょう。

3滴ほどの血液で10分前後で結果がわかる簡単な検査です。

費用はおおよそ2000円から3000円ほどです。

採血ついでに内臓器の血液検査を受けることもできますのでかかりつけの先生とご相談されてくださいね。

なお猫ちゃんの場合はフィラリア症に感染していても、体内で成長できる虫の数が少ないため検査での検出は難しいとされています。

ですがそのため万が一感染している場合も予防薬でアナフィラキシーを起こすことはありません。

フィラリア検査

 

フィラリア予防の期間について

予防の期間はおおよそ5月から12月とされています。少しおかしく思う方もいるかもしれません。

蚊が出始める時期としては遅すぎるし、蚊がいなくなる時期よりもずっと遅い時期が予防終了時期とされているからです。これには理由があります。

前述で記載したとおりミクロフィラリアが成虫となり心臓に寄生するまでには数か月の時間がかかります。

予防薬で駆除できるミクロフィラリアは、ある程度大きくなってきた子虫に限定されるため早すぎては効果がないのです。

また同様に最後の蚊に刺されてから数か月以内は、感染リスクが残されているため予防期間も長めに設定されているのです。

ただし沖縄など暖かな地域は断続的に蚊が発生しているため通年予防がおすすめです。

 

フィラリア予防薬の種類と選び方

予防薬と聞くとなんだか物々しい感じすらしますが、さすが動物用のお薬、様々なタイプが用意されています。

シンプルな錠剤のタイプ、おやつ感覚で食べられるチュアブルタイプ、そしてたらすだけでOKな滴下タイプ、大きく分けてこの3タイプになります。

ではそれぞれのメリットデメリットを見ていきましょう。

 

錠剤タイプ(モキシデック、ミルベマイシン、パノラミス等)

<メリット>

・粒が小さく投薬しやすい

・食が強い子であれば食事に混ぜて投薬できる

・消費期限が長くまとめ買いしやすい

<デメリット>

・お薬に敏感な子は吐き出してしまう

・投薬後嘔吐があった場合再投薬の必要がある

 

おやつタイプ(カルドメック、イベルメック、ハートガードプラス等)

<メリット>

・ご褒美感覚で投薬できる

・おやつ好きな子には投薬が非常に楽

・大きさがあるので無くしにくい

<デメリット>

・食べ物にアレルギーがある子は注意が必要

・犬種によっては副作用が出てしまう(コリー犬種はイベルメックの副作用報告があるため服用はおすすめできません)

・投薬後嘔吐があった場合再投薬の必要がある

 

滴下タイプ(アドバンテージハート、レボリューション等)

<メリット>

・垂らすだけなので簡単に投薬できる

・ノミも一緒に予防できる

・投薬後の吐き出し等で投薬漏れする可能性がない

<デメリット>

・皮膚が弱い子には使いにくい

・シャンプーするまで時間をあける必要がある

 

フィラリア予防薬の人気ランキング

フィラリア人気お薬名の調査結果

フィラリアお薬タイプ別人気調査結果

おやつタイプのイベルメックにつぎ滴下タイプのレボリューション、おやつタイプのカルドメックチュアブルといった結果になっています。

またチュアブルタイプのお薬がダントツの人気を誇っているのもわかりますね♪

長年動物病院に勤めていますがおやつタイプの予防薬と聞くと、驚いてそして喜ぶ患者様が多いのでこの結果には納得です。

やはりお薬と聞くとどうしても錠剤やお注射を連想する方が多いですから、おやつタイプの予防薬は身近で使いやすいお薬と言えますね!

更に詳しいフィラリア予防薬の選び方は『フィラリア予防薬を徹底比較したおすすめランキング【2017年最新版】』を読んで確認して下さい。

 

チュアブルタイプの予防薬、食べるか不安

食べてくれるか不安でまとめ買いを迷う方は、病院スタッフにプラセボを試させてもらえないか聞いてみてください。

イベルメックやカルドメックチュアブルはメーカーさんが、病院に味見本となる薬効成分の入っていないプラセボを渡していることが多々あります。

またスタッフの手からや、院内ではお口にしてくれない子でも、お母さんお父さんの手からなら食べてくれる子も多いですし、一旦ご帰宅頂いておうちであげてみると喜んで食べてくれる子が多いので試してみましょう。

 

滴下タイプとおやつタイプどっちがオススメ?

レボリューションなどの滴下タイプは多くの場合、ノミ予防を兼ねているため川沿いや、草木が多い場所にお散歩に行くわんちゃんに人気があるように思います。

また食が強くなく錠剤もおやつタイプも使えない子には最強の予防薬と言えるでしょう。

ですがキャンプやバーベキューなどのアウトドアに多く行かれる子は、ノミだけでなくダニまでの予防が理想的ですので、おやつタイプ+ノミダニ予防薬(フロントラインプラス等)の併用が理想的です。

個人的には短毛種のわんちゃんの場合滴下タイプを使うと液だれしてしまい通常より広い範囲に液体が広がってしまうため皮膚がデリケートで気にしやすいわんちゃんには錠剤タイプもしくはおやつタイプをおすすめします。

 

いかがでしたか?それぞれフィラリアの予防はもちろん、お腹の虫下しやノミの予防、耳ダニの予防効果があるお薬もあります。

動物の性格や生活環境によって使い分けて頂くといいかと思います。

猫ちゃんには現在推奨されているのはファイザー社のレボリューションです。

ノミの予防も兼ねていますので通年で使用されてもいいかもしれません。

金額は動物の体重やお薬の種類にもよりますが一か月分でおおよそ1000円から2000円前後です。

初回の検査費用と合わせると12000円から20000円程になるかと思います。

 

フィラリアにもし感染してしまったら《薬の飲ませ忘れに注意!》

どんなに予防に気を使っていても、投薬忘れ等で万が一感染してしまった場合はどうしたらいいのでしょうか。フィラリア症は予防しなければ感染してしまう確率は50%もあるといわれています。

関連記事:フィラリア予防薬を飲ませ忘れたら何日以上が危険なの!?

 

まず感染はしているが発症はしていない場合、フィラリアの予防薬を通常とは違ったサイクルで服用し数年かけて体内の成虫を駆除します。

次に発症している場合、これは成虫駆除剤を使用します。

ですが一気に駆除してしまうとショックが起こってしまう為、薬剤量のコントロールが非常に難しく命にかかわる治療となります。

またフィラリア吊り出しといった手術もありますが全身麻酔下での手術なうえ、高度な技術を要するためある程度のリスクを覚悟して受けなければなりません。

実際に都内の動物病院でも年間2〜3件ほどフィラリア症例を見かけます。

症状は一切なかったが春の予防の時期にご来院頂き検査をしてみたら陽性だった。

もしくは症状が強く出ており問診で予防の有無を確認すると、一切したことがないとのお答えからフィラリア検査を行うなど発覚までの経路は様々ですが共通してその後の治療は困難を極めます。

中には去年一年だけフィラリアの予防を忘れていました。という若いわんちゃんもいらっしゃいました。

都内ではほとんど外科的な処置は行なわないため長いスパンで内科治療を行いますが、フィラリア症初期の若いわんちゃんであれば体力もありフィラリア陰性まで持っていける事が多いのに対し、発症するまで予防や検査すらしてこなかった老齢のわんちゃんとなると、治療途中に症状が強くなり命を落としてしまう事もあります。

治療自体わんちゃんに負担がかかるものですからどこまで積極的に治療をやるかというのは飼い主様側、そしてスタッフ側としても難しいところであります。

なお地方の動物病院で働く友人に聞くと、年間のフィラリア症例数はぐんとあがり外科的処置も積極的に行っているようです。

そもそもフィラリア予防がポピュラーになってきたのは比較的最近であり、昔から番犬や猟犬としてわんちゃんを飼ってきたおうちでは、あまり積極的に予防をされてない場合もあります。

外にいる機会が通常のわんちゃんよりも多い分感染リスクも格段にあがります。

猟や番犬としての素質があるわんちゃん達ほど欠かさずに予防をして欲しいと思います。

雑種だから大丈夫、室内飼いだから大丈夫といったことはありません!!

どんな子でも感染する可能性がある病気です。

ですが正しく理解し対処していけば決して怖い病気ではありません。

大切なパートナーのためにもフィラリア予防はきちんとしてあげましょう。

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします

Twitterでフォローしよう!

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

木村 二美動物病院の看護師

投稿者プロフィール

5年間24時間365日体制の動物病院にて勤務していました。

現在は、より患者様との距離が近い個人の動物病院にて勤務しながら、

これまで経験を多くの人々に伝える為、記事の執筆活動などにも力を入れています。

この著者の最新の記事

関連記事

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

フィラリア予防薬の比較
猫ノミダニ駆除薬の比較

ピックアップ記事

  1. レボリューション

    【保存版】レボリューションを徹底解説!犬・猫のノミ、ダニ、フィラリア対策|駆除出来る寄生虫・効果・副作用・評判まとめ

  2. フロントライン

    【保存版】フロントラインの効果を100%引き出す獣医が薦める使い方

ページ上部へ戻る