可愛いペットが体調を崩したら、怪我をしたら、まず動物病院にかかりお薬をもらいますよね。
良くなるものとわかっていても大切なパートナーの身体に使うもの。
どんな物でどんな風に作られているか気になる方も多いのではないでしょうか?
そこで今回は動物病院のお薬事情をご紹介します。
この記事の目次
どんなお薬を使っているの?
動物病院で使用するお薬は大きく分けて<人体薬>と<動物用医薬品>の二種類です。
人間用のお薬を動物の種類や体格によって処方量を変え使用したり、動物のために開発されたお薬をその製薬会社が規定した処方量で使用したりと使い方は様々です。動物用であっても人体用であっても効果に大きな差はありません。
ですが動物用医薬品には動物を対象とした治験のデータがあり、病院サイドとしてもより安心して使用できるというメリットがあります。
ところが動物用医薬品の開発はまだまだ発展途上であり、ありとあらゆる疾患に対応できるほどの種類は販売されていません。
そのため動物用・人体用に関わらず、その時の症状に合わせ最もベストだと考えられるお薬が処方されます。
もしお薬の名前を把握しておきたい場合は病院のスタッフさんに聞いてみてくださいね。
また動物病院では人間の病院のようにお薬ノートはついていないことがほとんどですから、更に詳しく知っておきたいという方は「お薬110番」等のサイトで聞いたお薬の名前を検索してみてください。副作用や副効果等が詳しく記載されています。
ジェネリック薬品は使われているの?
さて前述で記載した人体薬、ピンと来た方もいらっしゃるかもしれません。
人間は病院にかかり、薬局でお薬をもらう際にはジェネリック薬品の選択を自身で行うことができます。
ですが動物病院でこれを聞かれたことがある方はほとんどいらっしゃらないかと思います。
ではジェネリック薬品は使われていないのでしょうか?
いいえ、これはNOです。むしろほとんどの薬品においてジェネリック薬品を使用しています。
その理由は一つです。健康保険に入っている人間とは違いペットちゃん達は保険に入っていません。
現在はペット保険も普及してきていますがまだまだ未加入の方の割合が高いのが現状です。
少しでも患者様の負担軽減を考えると先発品よりも、ジェネリック薬品を使用することになるのです。
ジェネリックは安全?
ではジェネリック薬品は安全なのでしょうか?
これはもちろん安全です。
ジェネリック薬品とは一番最初に開発され販売された先発品の特許が切れた後に、先発品と全く同じ薬効成分で作られ販売されたお薬を指します。
最初にかかる膨大な開発費用がかからない分お薬そのものを低価格で販売できるのが強み、といったお薬ですから偽物なわけでもありませんし、薬効成分が不明確といったわけでもありません。
更に動物病院でジェネリック薬品を使用するようになったのは、ジェネリック薬品が誕生してすぐのことです。
多くの先生たちは実際に使用したデータを見た上で処方をしていますから、安心してペットちゃんに投薬してあげてくださいね。
お金はどれくらいかかるの?
気になるお薬の金額ですが、これはどうしても保険のある人間に比べると高くなってしまいます。
ですが動物用医薬品の開発やジェネリック薬品の普及に伴い少しずつ緩和してきています。
例えば免疫系疾患や好酸球性皮膚炎、ホルモン疾患等でお薬を使用する場合、一昔前は人体用であるネオーラルやトリロスタンといった薬剤が使用されていました。
先発品である上に保険がかからないペットちゃんに出す場合、月のお薬代だけで5万円以上かかってしまう事もありました。
ですが現在はアトピカやアドレスタンといった動物用医薬品が出ていたり、デソパンといったジェネリック薬品が出ていたりと、以前に比べ3分の1程の金額で処方することが可能になりました。
体重や動物種によってお薬の金額設定は各動物病院で異なりますが、長く服用をしなければいけない場合もありますから遠慮せずスタッフに確認、相談されてくださいね。
効かない!合わない!そんな時は?
お薬が効かない合わないと感じた場合には速やかに処方してもらった病院に問い合わせされてください。
ごく稀にお薬が合わず嘔吐してしまったり倦怠感を感じてしまう子がいます。その際にはお薬の交換が必要です。
また長く飲んでいるのに効かない、前は効いていたのに効かなくなってきたといった時にはお薬に耐性がある、長い服用で耐性ができてしまった、といった可能性が考えられます。
その場合は薬剤感受性検査を行う事がありますので診察の際に獣医師にご相談されることをおすすめします。
動物病院ではどんな風にお薬を作っているの?
ところで動物病院の窓口で出てくるお薬、これは一体誰がどのように作っているのでしょうか?
人間のような薬剤師さんは動物病院には存在していません。お薬を作っているのは獣医師もしくは看護師です。
診察した獣医師がカルテに記載した処方に基づき、お薬を割ったり潰したりして作成します。
処方量は使用するのが人体薬であっても動物のために設定された処方量で出していますので飲みすぎてしまう心配はありません。
お薬を調剤するのに使用する道具や分包機はほとんどが人間の薬局にあるものと同型のものです。
薬剤師ではありませんがお薬の知識も豊富な上にペットへの投薬に関してはプロフェッショナルです。
例えば散剤は飲めない、錠剤は苦手、シロップにしてほしい、極力小さくして欲しい等、ケースバイケースで作成方法を変更します。
型に縛られずペットちゃんに合わせてお薬を作成しお渡しできますから是非そのような時は病院さんにご希望を伝えてくださいね。
もちろん、その他にお薬に関してのご不安やお悩みがあれば、その都度スタッフにご相談されるようになさってください。
まとめ
いかがでしたか?
新たな医薬品の開発やジェネリック薬品の普及等動物医薬品の現場は目まぐるしく環境が変わってきています。
個人的には患者様の安心、そしてペットちゃんたちの苦痛の軽減につながるものであるならば、積極的に新しいものを使用していくべきだと考えています。
もちろん絶対的に安全であると判断されたものしか取り扱ってはいませんし、何らかの副作用が伴う場合には病院サイドからきちんとインフォームドコンセントがあるはずです。
ですがそこに飲み込まれてしまう不安があっては絶対にいけません。
言葉が話せない我が子に変わり、お薬の把握は飼い主様がしっかりとしてあげましょう♪
5年間24時間365日体制の動物病院にて勤務していました。
現在は、より患者様との距離が近い個人の動物病院にて勤務しながら、
これまで経験を多くの人々に伝える為、記事の執筆活動などにも力を入れています。
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