『動物病院に行くな』は間違いである!動物看護士が真っ向から反論

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動物看護師の反論

ペットブーム後多くのショップやサロン、動物病院がオープンしその数は現在も増え続けています。

正しい情報はどれなのか、どこへ行ったら良いのか、迷ってしまう方も少なくないかと思います。

中には悪徳な業者が存在しているのも事実であり、そういった場所を根本的に否定するような説もあります。

ですが自身が動物業界に身を置く中で日々感じている事は、動物のプロとの関りは【予防医療】としてとても意味を持つ行為だという事です。そこで今回は意外と知られていない動物病院の内情や、本当に必要なものは一体何か、予防は本当に必要なのか等、動物看護士として知って頂きたいことをご紹介致します。

 

 動物病院ってどんなところ?

 

さてご近所に必ず一軒はある動物病院。一体どのような人間が、どのような事をしているのでしょうか?先ずは必ずいる【獣医師】についてです。

獣医師になるためには大学の獣医学部で6年間勉強をし、国家資格を取得しなければなりません。

開業医のほとんどが資格取得後5~10年ほど勤務医として勤め、経験や知識を蓄えてから自身の病院を開院しています。

人間と違い診療科目を分けることはほとんどしないため、内科から外科、眼科、消化器科、呼吸器科等幅広い知識を必要とします。

そして獣医師の補佐をする【動物看護士】は民間資格ではありますが、手術の助手から調剤、受付、入院管理、外来対応等とにかくオールマイティに獣医師のサポートを行います。

お給料は獣医師が20~30万程、看護師は15万~20万程です。

決して簡単な仕事ではない上に、金銭面でも非常に厳しい職業です。

ですが私たち動物医療従事者は飼い主様と、ペットちゃん達にとっての幸せを願い、生きがいにしています。

一つ一つの命と向き合い、考え、助けたいと奮闘しています。

もちろん生活をしていくためにビジネスとして割り切らなければならないこともあります。

ですがお金儲けのためだけであればこの仕事は選べません。

なぜなら動物好きの私たちにとって、純真無垢な動物たちを苦しめ利用する事など到底できることではないからです。

 

避妊や去勢は本当に必要なの?

さてペットを飼い始め、初めて動物病院にかかった際に、避妊や去勢についてのお話しを聞いた方もいらっしゃるのではないでしょうか?

本来の自然な形を変えてしまう事や、麻酔をかけることに抵抗を感じられた方も多いはずです。

ではなぜ動物病院では避妊、去勢をすすめているのでしょうか?それにはもちろん理由があります。

例えば女の子の場合、初回の生理がくる前に、避妊を済ませている子は乳腺腫瘍の予防効果が99.5%あると言われています。

2回目の生理以降は74%、そして年齢が2.5歳を過ぎると予防効果は消滅します。

更に避妊を行う事で将来的に子宮蓄膿症になってしまう可能性もなくなります。

男の子の場合には前立腺疾患の予防ができることはもちろん、陰睾からくる腫瘍性疾患の予防も可能です。

また交配予定がないにも関わらず発情期の女の子が近くにいれば、未去勢の男の子には多大なストレスとなってしまいます。

高齢になってから子宮蓄膿症や前立腺肥大を引き起こし、

生死をかけて手術を受けられる患者様を多く見てきました。

残念ながら助からないケースもありました。そうなる前に交配予定がないペットちゃんには、若くて元気なうちに手術を行いませんかとお話しをするのです。もちろん不安があるのは当たり前です。我が子に麻酔をかけメスをいれるわけですから。

納得がいくまで獣医師、看護師に不安や疑問をぶつけてください。

特に男性の飼い主様は去勢手術に抵抗を感じる方が多いように思います。

ですが上記のことを踏まえどちらがストレスフリーで、我が子らしく生活できるかを考えてみてくださいね☆なお体重が2キロを超えていない場合は体が成長するのを待ってから手術を行います。術前に血液検査も行いますし、結果麻酔が危険と判断した場合には手術は行いません。

8年目になり何百頭と見てきましたが避妊、去勢で命を失った子は見たことがありません。

なお手術後はホルモンバランスが変わり太りやすくなりますが、しっかりと食事コントロールをすれば適正体重を維持できます。

また避妊、去勢をきっかけに発症してしまう疾患はありません。

ですがこれは予防医療の観点での正論であり、飼い主様の中でのお考えがあればもちろん強制することではありません。

迷っている方はかかりつけの獣医師とじっくりご相談されてくださいね。

 

ワクチン・フィラリア・ノミダニ予防は動物病院の金儲けのためなの?

このような説が出ているようですが、結論から言うと答えはNOです。

確かに動物病院は自由診療のため価格設定は病院によりまちまちです。

高めに設定する病院さんもあるためこのような説が出てきたのだと思います。ですが、フィラリアやワクチン、ノミダニを一切予防しなければ、ペットちゃんの寿命はぐっと短くなってしまいますし余計な疾患リスクをおうこととなります。

事実都内で勤務していてもフィラリア感染症例を何件か見てきましたし、ノミダニをつけて病院にくるペットちゃんも非常に多いです。

ワクチンも生活スタイルに合わせ接種するべきです。

では予防しなかった場合どうなるか、どのような予防の仕方が正しいのかご説明致します。

 

フィラリア予防

蚊を媒体とし感染するフィラリア症は都内でも感染するリスクがあります。

お住いの地域によりますがおおよそ5~12月の8か月間、予防薬を月一回投薬することで感染を防ぐことができます。

では予防せず、感染してから治療する薬はないのでしょうか?

実はあります。【イミトサイド】というお薬です。

確かに麻酔をかけフィラリアを心臓から吊り出す手術よりは低リスクで治療できます。

ですがショック症状が強く、副作用が大きい薬剤で、

完治するまでにペットちゃんに大きな負担がかかります。

単純に考えて毎月のお薬を飲むのと、副作用が大きい命にかかわる薬剤を投薬するのであれば前者の方がずっといいですよね。

なおフィラリア予防薬の副作用や死亡症例があるという説もありますが、少なくても私は何百という患者様と出会った中で、重篤な副作用や死亡症例は見たことも聞いた事もありません。
ただし錠剤やおやつのタイプの予防薬が体に合わず、吐き戻してしまうペットちゃんは少数ながら確かにいます。

そのようなときはかかりつけの病院スタッフにご相談されてください。

そういった場合にはスポットタイプのお薬に切り替えることで問題が解消することがほとんどです。

 

ノミダニ予防

どこにでもいるノミやダニですが、お散歩嫌いでほとんどお外に出ない子や完全室内飼いの猫ちゃんでも予防は必要なのでしょうか?

これは微妙なところですが、個人的にはノミダニの活動が活発化する5~10月ごろは予防して頂くほうが安心かと思います。

人間についたノミダニが感染してしまう事もありますし、カーペットに隠れていたノミダニが付着することもあります。

事実ほとんど外に出ないにも関わらずダニがついている!とかけこんでくる飼い主様は意外と多くいらっしゃいます。

また飼い主様も気が付いておらず病院で何かしらの処置を行う際にスタッフがノミ糞の付着に気が付いて発覚するケースもあります。

ノミやダニの感染が命に関わることは少ないため、ついてしまってからの治療でも遅くはありませんが、中にはノミアレルギーを発症してしまう子や痒みが大きなストレスになってしまう場合もあるためできれば事前に予防する事が理想的です。

ではノミやダニを駆虫、予防するような薬剤を使用して、ペットちゃんの体に問題はないのでしょうか?

実は副作用報告がある薬剤もあります。

主に錠剤タイプの経口予防薬は嘔吐症状が出る場合がありますので個人的にはスポットタイプがおすすめです。

皮膚が弱い子でも使えるアルコールフリーの『プラクティック』では痒み等の副作用も見たことがありません。

 

なお経口タイプでも去年発売された『ネクスガード』での副作用報告は今のところ聞いていません。
ノミダニの予防も毎月をおすすめされる事が多いかと思いますが、もしほとんど外には出ないのに…と抵抗を感じられるようであれば、二か月に一回やお出かけの前だけ、等飼い主様が予防頻度をコントロールしてもいいように思います。

なお市販のノミダニ予防薬にはあまり予防効果はありませんので動物病院にて入手されてくださいね。

ノミダニの付着に気が付かれた際は触らずに病院さんで取ってもらいましょう。

 

混合ワクチン

数年に一回動物病院から送られてくる混合ワクチンのお知らせ、ワクチン接種は本当に必要なのでしょうか?

これは生活環境に左右されますが、原則として必要です。

川沿いや森林が多い場所では感染症の感染リスクがありますから、お出かけが多いペットちゃんや他のおうちのペットちゃんと遊ぶ機会の多いペットちゃんは特に必要ですね。

ですが混合ワクチン、実は病院の先生によって接種頻度が違います。

例えば毎年接種をすすめる病院と3年に1回の接種でいいという病院があったりします。

現在多くの病院で使用されている5種の混合ワクチンは、米国では3年間抗体が持続する事が証明されています。

そのため成犬になってからのワクチンは、3年に一回でいいですよとアナウンスする病院が増えてきました。

(抗体確確立ができるまではもう少し頻回で案内されます)ところが昔ながらの先生や、ペットちゃんの負担を減らすため正規量より減らしてワクチン接種を行う病院さんでは、毎年接種や一年半に一回の接種をおすすめしているケースがあるのです。

接種頻度に疑問を持たれた場合は必ずかかりつけの先生にお聞きになってください。

なお5種以上のワクチンは抗体が一年しか持ちませんので必然的に毎年の接種となります。

さてこの混合ワクチン、副作用はないのでしょうか?

残念ながら混合ワクチンの副作用症例は他のどんな予防薬より多く報告があります。

ダントツで多いのがアナフィラキシーショックです。

接種後ワクチンにアレルギー反応を起こし顔が腫れあがってしまいます。

ほとんどが数時間以内に収まりますが、症状が出た際は速やかに動物病院にかかりステロイドで治療する必要があります。

難しいところですが一度でもこの症状が出たのであれば、個人的には生活環境に注意しワクチン接種は中止してもいいと考えています。

どうしてもという場合には事前にステロイドを服用し接種を行う事も可能ですが、最悪命に関わる副作用ですから獣医師とよくご相談されてください。

年間平均3件程副作用症例を見ています。

ご心配な方は接種後30分程動物病院さんで様子を見てから帰宅しましょう。

なお高齢なペットちゃんや持病があるペットちゃんは、ワクチンによる負担を避けるため副作用がなくともワクチンを中止する場合があります。

その際は生活するうえで注意すべき点などを確認しましょう。

 

定期検診の大切さ

ペットちゃんの定期検診というのはあまりなじみがないかもしれませんが、実はとても大切な事です。

動物たちは本来野生の世界で生活していました。

どこか調子が悪くてもそれを表に出せば他の動物にやられてしまうかもしれない。

だからこそギリギリまで体の不調は見せてくれません。

触診や聴診で疾患を早く見つけてあげられることもあります。

血液検査をして初めて見つかる病気もあります。

実際に見た目は全く問題のない元気な子が、検診で腫瘍や内臓疾患が見つかったというケースはとてもとても多くあります。

一年に一回でも構いません。定期検診を受けられることをおすすめします。

 

まとめ

いかがでしたか?

確かにペットちゃんには予防しなければいけないものが多く、本当に必要なのか疑問に思うこともあるかと思います。

ですが私たちは決して動物に負担がかかるだけの無駄な予防を進めることはしません。

技術や知識で生活していますから、そこにある程度の金銭が発生してしまう事はご了承いただければなと思います。

どんなに経験を積んでも、どんなに知識が増えても、救えない命があったとき、飼い主様の気持ちに応えられなかったときは悔やみ、悩み、涙することもあります。

重篤な疾患を抱えた子の治療にあたるときは飼い主様とチームを組んだつもりで病気と向き合っています。

中にはそうじゃない人間もいるのかもしれません。

ですが少なくても私が一緒に仕事をしてきた多くの獣医師、看護師たちはみな動物を想い、日々学び努力しています。

様々な説がありますが鵜呑みにせずご自分の目で確かめてください。

もちろん飼い主様個々に様々な考え方があるのは私達もわかっています。

強制するのではなく飼い主様のお気持ちを尊重しつつ正しい情報をお伝えする、これが動物病院のあるべき姿かと思います。

先生との相性もありますから長くお付き合いができるかかりつけを見つけてあげることも飼い主様がペットちゃんのためにできることの一つですね。

疑問や不安を飲み込まず、うまく動物のプロと付き合い可愛い我が子の人生をより豊かなものにしていただければと思います♪

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木村 二美動物病院の看護師

投稿者プロフィール

5年間24時間365日体制の動物病院にて勤務していました。

現在は、より患者様との距離が近い個人の動物病院にて勤務しながら、

これまで経験を多くの人々に伝える為、記事の執筆活動などにも力を入れています。

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