悪性腫瘍に関しては発見が早ければ早いほど寛解する確率があがります。
中には時間をかけて良性から悪性へと変化する腫瘍もありますので、早期に見つけ対処することで悪性腫瘍を未然に防げる場合もあります。
どうしても発症しやすい犬種ですから必ず毎日体を触ってあげてください。
特にソケイ部やあご下等リンパが集中している部分は念入りに触りチェックしてあげましょう。
コミュニケーションの一つとして日課にしていただくといいかもしれませんね。
小さな小さなしこりでも気が付かれたらすぐに病院にかかられてください。
レトリバー犬種で悪性腫瘍が疑われる初期症状
悪性腫瘍に関してはこれといった初期症状はありません。だからこそ早期の発見がカギとなります。
進行が進んでくると食欲低下や元気消失、倦怠感、下痢、嘔吐等が見られます。
何かの症状が出る前に見つけてあげられるのが理想的です。
レトリバー犬種の《悪性腫瘍》検査や治療方法
腫瘍は先ず、病変部位に針を刺し腫瘍内の細胞を抜いて、顕微鏡でどのような細胞が出ているかを確認する細胞診(FNA)を行います。
この時点で悪性、良性が判断できることもありますが診断がつかない場合には、外部の病理検査センターに提出し診断をもらうこともあります。悪性と診断された場合には外科的な切除を行いますが、悪性細胞を取り切れなかったり、転移していた時には抗がん剤治療を進めていきます。
例えば骨肉腫は足の骨がガン化してしまう疾患のため「断脚」といった手術になりますし、表皮にできた腫瘍であれば取り残さないように大きめに切除を行う「皮膚腫瘍摘出手術」となります。
年齢的な麻酔リスクを考慮し手術はせず抗がん剤治療に入るケースもあります。抗がん剤には様々な種類、そしてプロトコールがありますが、長いものでワンクール半年間かかるものもあり期間中は頻回な通院が必要となります。
この類の疾患の怖い点は「完治」が存在しない事です。ガン細胞が消滅した「寛解」の状態からすぐに再発してしまう場合もあります。
まとめ
レトリバー犬種の好発疾患は治療が難しいものも多く頭を悩ませてしまうかもしれません。
ですが治療に関して正解、不正解というものは存在しません。
抗がん剤治療や手術はわんちゃんの体力、精神に負担がかかるだけでなく、飼い主様の体力や金銭的な負担も非常に大きい治療です。
愛犬の年齢や性格、生活環境や予後、様々な事を考慮し自信を持って決断されて下さい。
彼らは心の底から飼い主様を愛し、信頼し、パートナーとして生活しています。
そんな彼らだからこそ、飼い主様の決断をきっと受け入れてくれる事かと思います。
個人的にもレトリバー犬種の様々な症例を見てきました。
つらい治療を頑張っていた子、途中で対症療法に切り替えた子、高齢でいながら手術を乗り越えてくれた子、どの子もみなとても穏やかで飼い主様との深い絆を感じずにはいれませんでした。
現在は医学や環境の進歩によりレトリバー種の寿命もぐんぐんとのびてきています。
病気を正しく理解し素敵なドックライフを送らせてあげましょう。
5年間24時間365日体制の動物病院にて勤務していました。
現在は、より患者様との距離が近い個人の動物病院にて勤務しながら、
これまで経験を多くの人々に伝える為、記事の執筆活動などにも力を入れています。
この記事へのコメントはありません。