「猫は、泌尿器系の疾患が多い」と聞いたことがある方も多いと思います。
「猫下部尿路疾患(FLUTD)」と呼ばれるさまざまな尿路の疾患にかかるリスクがあるのですが、その中でも「尿路結石症」は多くの猫が経験する病気です。
この記事の目次
「尿路結石」尿路とは?結石とは?
では具体的に、「尿路」とはどこを指すのでしょうか。
尿路とは、尿が作られてから排出されるまでの器官、
すなわち「腎臓 → 尿管 → 膀胱 → 尿道」までのことを言います。
この器官のどれかに結石ができることをまとめて「尿路結石」と呼び、結石ができた場所で具体的に特定する場合には「尿管結石」「尿道結石」などと言われます。
尿路結石にかかるのはメスよりもオス猫のほうが多いです。
その理由としてオスのほうが尿道が細く、曲がっているからだと言われています。
次に「結石」ですが、下記のとおりいくつかの種類があります。
種類ごとに原因やできやすい場所が異なりますので、単に「結石」と言ってもどの種類なのか、きちんと診断を受ける必要があります。
また、種類の異なる結石が複数の場所にできるケースもあるそうです。
ストルバイト結石
- マグネシウム、アンモニア、リン酸から成る結石。
- 尿がアルカリ性に傾くとできやすい。
- 膀胱にできやすい。
- 尿路結石でいちばん多いタイプ。
シュウ酸カルシウム結石
- 名前の通り、シュウ酸カルシウムから成る結石。
- 高齢猫にできることが多い。
- 尿が酸性に傾くとできやすい。
- 腎臓、膀胱、尿管、尿道にできる。
- 尿路結石で2番目に多いタイプ。
●尿酸結石 ・・・非常に少ない
●シスチン結石・・・非常に少ない
結石になるとどんな症状が出る?
下記のような症状が出たら、結石の可能性があります。
結石によって尿が出なくなると、膀胱に尿が溜まり「尿毒症」となって最悪の場合は死に至ります。
- 何度もトイレに行く、トイレの周りをうろうろする
- トイレに長時間座っている
- 尿が出ない、もしくはほんの少ししか出ない
- トイレ以外の場所に少量の尿がこぼれている
- トイレで尿をしながら鳴く、痛そうにしている
- 尿がピンク色~赤色になっている
このように、毎日の様子とは明らかに違った比較的分かりやすい症状や行動が表れます。
可能であれば、わずかでもいいので出た尿を採取し、それを持ってすぐに動物病院に行きましょう。
特に、1日尿が全く出ていない場合は緊急性がありますので、夜間でも救急病院の受診をお勧めします。
うちのオス猫も、尿路結石になりました。
うちのオス猫は、3歳の時に尿路結石になりました。
最初に異変に気が付いたのは、トイレの回数です。
普段は1日2~4回しか尿をしませんが、その日は1時間に2回、3回とトイレに行っていることに気づきました。
また、トイレに入って砂の上に3分くらいじっと座っているのですが、出た尿はほんのわずかで、猫砂がちょっと濡れるだけという感じでした。
次第にトイレの回数が増え、10分に1回くらいトイレに出たり入ったりするようになったのです。
この時点で、すぐに採尿をしました。
1回につき数滴しか出ていない尿を3回分くらいなんとか集め、それを持って病院へ。
尿検査をしてもらったところ、ストルバイト結石と、肉眼では見えなかったわずかな血尿が出ていました。
幸い比較的早い段階で発見できたため、薬での治療ですぐに良くなりました。
尿路結石になってしまった原因はキャットフードだったようです。
外国製のプレミアムフードでしたが、後でクチコミを調べてみたところ、そのフードに変えてから結石になったという飼い主さんの書き込みが複数見つかりました。フードを元に戻したところ、その後は再発もなく元気に過ごしています。
愛玩動物飼養管理士の資格を保有し野良猫の去勢・避妊手術や、
子猫の保護・譲渡などのボランティア活動に従事しています。
日本臨床獣医学フォーラムには毎年参加しており、日本中の著名な獣医師や、動物行動学の先生から直接レクチャーを受講しています。
この記事へのコメントはありません。